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同時流行の危険も! 気をつけたい冬の感染症
 
秋から冬にかけては、さまざまなウイルス感染症が流行する季節です。低い気温・湿度は多くのウイルスにとって生存しやすい環境であり、空気が乾燥するとウイルスの水分が蒸発して軽くなって空気中の浮遊量が増えるだけでなく、咳やくしゃみの飛沫も小さくなるためウイルスが飛散しやすくなります。さらに、寒くなり体温が下がると、代謝機能や免疫力も低下します。
 
とくに、新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザなどとの同時流行も懸念されています。2023年5月にインフルエンザと同じ5類感染症に位置づけが変わったとはいえ、重症化率・後遺症のリスクも依然として高いことが分かっています。
 
感染症から身を守るためには、日頃の対策が鍵です。「自分がならない」だけでなく「(親・子ども含め)家族や周囲にうつさない」ためにも、感染予防策を含む最新情報を知り、正しい知識を持って備えることが大切です。
  
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監修してくれた先生は…

黒沼 幸治(くろぬま・こうじ)さん

札幌医科大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学講座 准教授

1.新型コロナ感染症の重症化リスク --- 80代の重症化率は30代の70倍以上!※1

変異を繰り返し流行している新型コロナウイルス、重症化リスクの高い高齢者は特に注意

冬は、乾燥や寒さによる免疫力の低下などから、ウイルス性感染症が流行しやすい季節です。

インフルエンザやノロウイルスなど、冬場に流行する感染症は数多くありますが、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)もまた、依然として注意すべき存在です。

というのも、新型コロナは特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方における重症化率が高いため※1、細心の配慮が必要です。

折しも秋冬の行楽シーズンで、家族や友人と過ごす機会も増えると思います。感染症を過度に恐れる必要はありませんが、正しい知識を持って、きちんとした対策することで「自分は感染症にかからないようにしよう」そして「友人や家族にうつさないようにしよう」という意識を持って臨むようにしましょう。

コロナ感染症は、依然として注意すべき感染症です

ウイルスは、増殖や感染を繰り返す中で少しずつ「変異」しています。「変異」とは、ウイルスが増殖する際に一定の頻度で起こる※2遺伝子情報のコピーミスのことで、変異により新たな性質を持ったウイルスを「変異株」といいます。

新型コロナウイルス感染症(以降、新型コロナ)は「感染症法」上の位置づけが「5類」に移行しましたが、今後、感染力がさらに高まり重症化しやすい変異株が出現する可能性もあるため※1、十分な予防策をとることが大切です。
データを見ても、日本国内における新型コロナの流行株は次々と移り変わっており、新型コロナは変異を繰り返しながら自身の性質を変化させ、短期間で何度も流行を繰り返してきました。※2 「以前、新型コロナの予防接種を受けたから大丈夫」という過信は禁物です。

60代の重症化率は30代の約25倍、80代に至っては約71倍

誰もが感染するリスクのある新型コロナですが、年齢層が上がるほどに重症化するリスクが高いことが分かっており、30代を1倍とすると、50代では約10倍、60代では25倍、そして80代になると71倍もの重症化率になる※1というデータが厚生労働省から発表されています。

また、合わせて気をつけたいのは基礎疾患(持病)がある方、肥満・喫煙などの生活習慣がある方は重症化リスクが高い※1とされています。

「自分はまだ50代だからリスクは低い」と軽視せずに、今から改めて正しい感染症予防に取り組みましょう。

2. 新型コロナ後遺症の実態 --- 退院後の患者のアンケート調査によると、3人に1人が味覚障害に倦怠感・疲労感などに悩む※3

退院後の患者のアンケート調査によると、3人に1人が後遺症に悩む

新型コロナから回復した後、後遺症に悩む方が少なからずいます。調査によると、その割合は診断から12か月後でも約30%。およそ3人に1人に何らかの後遺症が残っています※3

代表的な後遺症としては、よく聞く嗅覚障害以外にも、倦怠感や呼吸困難、筋力や集中力の低下、睡眠障害などさまざまなものがあります。後遺症は時間とともによくなることが多いとされていますが、中には1年経っても症状が残っている方もおり、長引く症状により日常生活や仕事に支障が出ることもあります。※3

後遺症かな?と思ったら、かかりつけ医に早めの相談を

データによると、世代や基礎疾患の有無、新型コロナ罹患時に軽症だったかどうかに関わらず、どんな方でも後遺症が残る可能性があることがわかっています※3

後遺症の原因は現段階では明らかになっておらず、治療法は確立していません。ただし、対症療法により症状の緩和が期待できる可能性もあるので、気になる症状が続く場合には、早めにかかりつけ医や地域の医療機関を受診しましょう

もし新型コロナに感染した場合、症状としては鼻水や鼻づまり、のどの痛みなど、普通のかぜと同じようなことも多く、かぜとの区別がつきにくいことがあります。

しかし、かぜとは異なり一部の人で重症化し、入院が必要になる可能性もあります。新型コロナかどうかを見極めるためにも、まずは検査を受け、医師に相談することが大切です。

3. 予防の最新情報 --- 今年から新型コロナワクチン定期接種がスタート 家族で検討を

感染防止の5つの基本※4

新型コロナなどの感染症を予防するには、場面に応じたマスクの着用、換気の徹底、手洗いなどの感染対策の基本を継続することが大切です。

感染防止の5つの基本は、

①体調不安や症状があるときは無理せず自宅療養か受診する
②その場に応じたマスクの着用や咳エチケットの実施
③換気、密集・密接・密閉(3密)の回避
④手洗いを日常の生活習慣に取り入れる
⑤適度な運動、食事などの健やかな生活習慣

これらの基本をしっかり守り、過ごしていきましょう。

10月より新型コロナワクチンの定期接種が開始

その上で、特に重症化リスクの高い方は、対策の一つとしてワクチン接種という選択肢もあります。

新型コロナワクチンの特例臨時接種は、2024(令和6)年3月31日をもって終了しましたが、今年の10月より重症化リスクが高い方を対象に定期接種が開始されます

厚生労働省によると、新型コロナへの感染によって得られる抗体(抗N抗体)を持つ日本人の割合は64.5%という調査結果が出ています。年齢別の抗体保有率を見ると、16-19歳は80.5%であるのに対して、50代で59.3%、60代で51.6%と、年齢が上がるほど保有率が低下していることが明らかになりました。※5

したがって日本では特に60代の抗体保有率が他の若い世代に比べて低い(51.6%)ため注意が必要で、日本感染症学会も高齢者への追加接種を推奨しています。※6

この機会に、ご自身だけでなくご両親含めた家族の新型コロナワクチンの接種について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

ご自身やご家族が定期接種の対象かどうか、確認しましょう  

厚生労働省では、65歳以上の方および一定の基礎疾患をもつ60~64歳の方を対象に、2024年10月以降、新型コロナワクチンの定期接種の対象とする方針を決定しました。※7
助成による自己負担額は自治体によって異なります。「新型コロナワクチン定期接種 自治体情報検索サイト」などを参考に、助成の情報や接種可能な施設など、ご自身の暮らす自治体の情報を確認しておきましょう。

令和6(2024)年度以降の新型コロナワクチン定期接種の方針※7

<実施時期>  令和6(2024)年度秋冬

<対象>  ・65歳以上の方
      ・60~64歳で対象となる方

心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

新型コロナワクチン定期接種の詳細を知りたい方は

新型コロナワクチンの定期接種対象者の皆さまにむけて、お住まいの自治体の助成情報や接種可能施設を検索できる情報サイトが開設されました。ぜひご確認ください。

また病院によっては定期接種だけでなく任意接種も可能ですので、詳細は各病院の情報をご確認ください。

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◆URL(検索TOP)はこちらで確定しておりますが、レビュー一回目のお戻しのときにタグ付きのものをお送りします
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新型コロナについて、もっと詳しく知りたい方は…

  • 画像をクリックすると、株式会社ハルメクのサイトを離れ、他サイトへ移ります。
  
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*1回目レビューお戻し時にタグ付きのURLをお送りしますので、お差し替えお願いいたします。

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2024年9月作成 CMT46O008A

脚注

  • ※1 新型コロナウィルス感染症の重症化率について
  •   出典:厚生労働省「2023年4月版 新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識」 
    https://www.mhlw.go.jp/content/000927280.pdf) (2024年8月27日閲覧)

  • ※2 新型コロナウイルスの変異
  •   東京都保健医療局:都内の変異株発生状況について
      (https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/corona_portal/henikabu/screening.html)(2024年9月5日閲覧)

  • ※3 味覚障害に倦怠感…3人に1人が悩む
  •   対象:2020年1月~2021年2月に新型コロナウイルス感染症により入院した18歳以上の患者を対象に、診断後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に紙あるいはスマートフォンアプリを用いてアンケートを行った。(解析対象:1,066例)
      出典 厚生労働省:厚生労働科学特別研究事業.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究.令和3年度 総括研究年度終了報告書. 研究代表者 福永興壱. 令和4(2022)年4月
    https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2020/202006052A.pdf)(2024年8月27日閲覧)

  • ※4 感染防止の5つの基本
  •   出典 :厚生労働省:第118回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年3月8日)資料3-9(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001069238.pdf)(2024年9月18日閲覧)
  • ※5 日本では特に高齢者で感染歴のある人が少ない
  •   出典 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する抗体保有割合実態調査について(第8回)
    https://www.mhlw.go.jp/content/001251912.pdf)(2024年8月27日閲覧)

  • ※6 COVID-19ワクチンに関する提言(第9版)-XBB.1.5対応mRNAワクチンの任意接種について
  •   出典:日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言」
    https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2405_covid-19_9.pdf)(最終アクセス:2024年8月28日)

  • ※7 令和6(2024)年度以降の新型コロナワクチン定期接種の方針
  •   出典:厚生労働省ホームページ 「新型コロナワクチンについて」 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html)(最終アクセス:2024年8月28日)
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